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特集記事 地上デジタル放送
横浜市北部の地上デジタル放送事情


こちらは横浜市北部です。屋根の上に乗っているテレビアンテナは、上のほうがUHF用で、下のほうがVHF用です。UHFアンテナは横浜市北部の鶴見電波送信所のほうに向き、VHFアンテナのほうは東京タワーのほうに向いています。

今現在、地デジを受信しようとするならば、新たに地デジ用UHFアンテナを東京タワーのほうに向けて設置することになります。鶴見電波送信所のほうからも、地デジ電波は送信されてはいるのですが、そちらから送信されているのは、神奈川県の県域放送である、TVK(テレビ神奈川)だけだからです。

ここで問題があります。今回、新たに東京タワーに向けて地デジ用UHFアンテナを設置したとして、新東京タワー・・・東京スカイツリーから、地デジ電波が送信されるようになったら、どうなってしまうのかということです。
東京スカイツリーから、地デジ電波が送信されるようになってしまうと、それまで東京タワーのほうに向けていたアンテナを、東京スカイツリーのほうに向きを変えなくてはいけません。この作業は、誰が行うのか、誰の負担で行うのか、ということが問題になってくるはずです。きっと所有者の自己負担でしょう。

じつは、この地域と東京タワーと東京スカイツリーは、ほぼ直線状に並んでいます。この地域ならば、東京タワーから東京スカイツリーに地デジの送信所が移っても、アンテナはそのままで済む可能性が高そうです。かなりラッキーな地域だと思います。

地デジ用アンテナ


こちらは今回設置した地デジ用のアンテナです。地デジ用アンテナ中でも、超高性能タイプとうたわれている新製品です。
まだしばらくの間は、この手の新製品の発表が続くのではないでしょうか。

じつは、このようなことは、アンテナ設置工事を行うほうとしてはけっこう困ることです。それはアンテナを設置したとたん、新製品が発表されることがあるからです。こちらのお宅で設置したあとで、小型で性能の良いアンテナが、お隣さんで設置されたりすると目も当てられません。

地デジ放送のスケジュールは、2011年7月24日までに地上アナログテレビ放送が終了。翌2012年の春から、東京スカイツリーの運用開始です。

その間、アンテナメーカーも新製品を出してくるでしょう。どのタイミングで地デジ用アンテナを設置するのか、判断に迷うところです。とはいえ、ある程度の決断は必要だと思います。

UHFとVHF


ちょっと見にくいのですが、正面に写っているアンテナを見てください。1本のアンテナポールに、2本のUHFアンテナと1本のVHFアンテナが取り付けられています。
上のほうのUHFアンテナは横浜ランドマークタワーのほうを向き、下のほうのUHFアンテナとVHFアンテナは東京タワーのほうを向いています。

じつは、横浜ランドマークタワーのほうを向いているUHFアンテナと、東京タワーのほうを向いているVHFアンテナは、同じ内容の放送を受信していると思ってください。これはこの地域では、東京タワーからの電波の状態が悪いためであり、横浜ランドマークタワーが東京タワーの代わりをしているものです。
つまり、東京タワーのほうを向いているVHFアンテナは、電波の状態の良かった時代の名残といえ現在は使われていないはずです。

ほんとうならばVHFアンテナは撤去してしまえばよいのですが、撤去をするにも費用がかかります。そのために、このような状態になってしまったのでしょう。

できれば、不要になってしまったアンテナは、撤去するようにしてください。特にVHFアンテナはUHFアンテナに比べて大きいため、撤去をすればアンテナポールや屋根にかかる負担が減るはずです。

ただ、今現在VHF波の状態が良く、テレビの映りに問題がない場合は迷うところです。
建築屋の私としては、地デジ用アンテナを立てたならば、屋根のことを考えてVHFアンテナの撤去を勧めたいところです。

アンテナの寿命


今まで屋根の上に乗っていたアンテナの残骸です。アンテナはVHFとUHFの2本乗っていました。2本乗っていたのにまとめてしまうとこの程度です。一般のテレビアンテナ(八木アンテナ)というものは簡単なことがわかっていただけると思います。

この残骸の中で一番の大物はアンテナポールで、錆だらけになっていました。もちろん、アンテナポールはむき出しのスチール鋼管ではなく、亜鉛メッキが施されていました。ぴかぴかの亜鉛メッキも15年経つと錆だらけです。
このままでも、ある程度はもつと思いますが、錆だらけの状態のポールを目の当りにしてしまうと、やはり交換してしまいたくなります。ということで、今回はアンテナポールごとの交換になりました。

今回新しくするポールは、またしても亜鉛メッキポールです。錆には強いステンレスポールもあるのですが、ポールだけ錆に強くてもあまり意味がありません。亜鉛メッキポールが錆だらけになるころには、アンテナの他の部分にも傷みが出てくるため、アンテナ全体の交換が必要になってくるからです。テレビアンテナは、消耗品と考えておいてください。

レベルチェック


こちらはアンテナ工事の必需品、レベルチェッカーです。各種テレビ電波の受信レベルを測定してくれる機器です。この機器があればアンテナ選定などについての事前チェックが可能なのですが、残念ながらこの機器はプロ用で、価格は10万円を軽く越えてしまいます。

ここまでいかなくても、ハンディタイプの5万円前後の機器もあるのですが、それでも自分で持つのは躊躇してしまう価格です。こちらも、やはりプロ用でしょう。

その下に、簡易型として5千円程度のものもあります。この価格ならば購入を考えてもよいかもしれません。ただ、この機器については、あくまでも簡易型ということなので、あまり多くは望まないほうがよいかもしれません。それから、レベルチェッカーについては、レベルチェッカー単体で使用するのではなく、別途アンテナが必要になります。

受信状況のチェックには、実際のテレビを用いる方法があります。この方法が一番確実なのですが、テレビ購入後のチェックとなってしまうか、どうにかしてテレビを用意する必要があります。また、実際にテレビを用いるとなると、アンテナとテレビが離れているため、アンテナを動かしながらの測定がたいへんになってしまいます。
レベルチェッカーとアンテナが、セットとなってリース品として用意されていると、助かるところです。

取付けにあたって


こちらのお宅の屋根の上には、アンテナが3本立っています。上から東京タワーのほうを向いたVHF、横浜ランドマークタワーのほうを向いたUHF、そして一番下がほぼ真南を向いたUHFです。この一番下に取り付けられているUHFアンテナが、最近取り付けられた地上デジタル放送用です。

それでは真南の方向には何があるのかというと、そちらの方向にあるのは横に広がっている高層マンションです。もう少し西に向いていれば、平塚送信所からの電波を拾っていることも考えられますが、この向きではそれはないはずです。そもそも、このUFHアンテナは平塚送信所からの垂直偏波を拾うようなタイプではありません。
このUHFアンテナは、そのマンションから反射してきた地上デジタル波を拾っているのではないかと思います。地上デジタル波は、反射波からでも充分なことがあります。

こちらのお宅に住まわれている方に尋ねたところ、地上デジタル波は横浜ランドマークタワーから、取っているはずだといっていました。ところが、新たに取り付けられたUHFアンテナは、横浜ランドマークタワーとは45度近く方向が違っています。
それに、なんといっても2008年8月の時点では、横浜ランドマークタワーからは地上デジタル波は送信されていないはずです。

また、地上デジタル波の受信状況を尋ねてみたところ、それまでのアナログ波よりも綺麗に映るようになったとのことでした。ちなみに、それまでのアナログ波は横浜ランドマークタワーから受信していたとのことです。

これは、この地域のテレビ電波といえば、横浜ランドマークタワーから送信されているものだ、との思い込みだと思います。自分の住まいのアンテナの向きというのは、確認しにくいものです。

一方、このお宅のお隣ではVHFとUHFの2本のアンテナが、東京タワーのほうに向けられています。これは地上デジタル波を、東京タワーからとっていると考えてよいでしょう。
電波の状態の悪い地域では、このようなことが起こりえます。

この地域一帯は、テレビ電波の状態が悪い地域です。このような地域では、地上デジタル波に乗り移ったとしても、電波の状態は悪いままと考えたほうがよいでしょう。送信所の出力アップや中継局の増設などがなされれば別ですが。
電波の状態の悪い地域では、技術力のある工事業者を選ぶことが必要です。


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