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特集記事 住宅用火災警報器
はじめに


天井に取付けられた住宅用火災警報器です。
住宅用火災警報器は、消防法で設置を義務付けられている住宅用防災機器の一つです。ただ、消防法令上では住宅用防災警報器となっているので、検索などを行う際には注意が必要かもしれません。(消防法9条の2、消防法施行令5条の6)
ここでは、一般的な名称である住宅用火災警報器で話を進めます。

住宅用火災警報器については、すでにすべての新築住宅で設置が義務付けられています。さらに、既存住宅への設置の義務化も始まっているため、いろいろなサ イトで取り上げられています。よって、系統だった知識はそちらにお願いすることとして、ここでは私なりの住宅用火災警報器についての注意事項を箇条書きに 挙げてみるつもりです。

まず大事なことは、住宅用火災警報器については、設置にあたっての資格が不要ということです。これは、多くの消防関連設備が、設置にあたってその消防設備 に応じた消防設備士の資格が要求されるのに対して、誰にでも設置可能ということです。ただ、電気配線工事が必要になる機種については、電気工事士の資格が 必要にはなります。ということは、電気配線工事が不要な電池タイプの機種を選べば、まったく資格不要ということ。

つまり、消防設備士の資格なりを振りかざして、『消防設備士でなければ取付工事が出来ない』 などと住宅用火災警報器を売り込んでくるような訪問販売は、胡散臭さ百倍というわけです。

さらに付け加えると、多くの消防関連設備では定期的な点検と報告が義務付けられていますが、住宅用火災警報器ではそのようはことは義務付けられていませ ん。(自主的な点検は必要です。)つまり、点検が必要だからということで、家の中に入り込もうとするような輩は悪徳業者の可能性大ということになります。

義務化のスケジュール
住宅用火災警報器については、新築住宅で2006年6月から設置が義務付けられています。つまり最近建てられた住宅には、住宅用火災警報器が設置されてい るということです。一方、既存住宅については、消防法で2年間の猶予期間が設けられていたため、既存住宅に対する住宅用火災警報器の義務化は、2008年 6月以降ということになります。

ただ、各市町村は条例で、猶予期間を5年間まで延長することが可能となっているため、お住まいの地区の義務化のスケジュールについては、地区を管轄する消防本部なり消防署なりに確認が必要です。

ここで注意事項を一つ。
自動火災報知設備が設置されている住宅では、重ねて住宅用火災警報器を設置する必要はありません。マンションなどの集合住宅では、自動火災報知設備が設置されていることが多いはずなので、その場合は不要ということになります。

単独型と連動型
単独型と呼ばれる、一般的な住宅用火災警報器の機能について記してみます。
単独型住宅用火災警報器は、設置された部屋の煙を感知して、警報音をその部屋だけで鳴らすようになっています。つまり、その部屋にいる人に知らせること、就寝している人を起こすことが単独型住宅用火災警報器の役割りです。

もちろん、その警報音はかなり大きいため、他の部屋にいる人が気づくことはあるでしょう。特に深夜などで周りが静まり返っていれば、他の部屋で気がつかな いほうが少ないはずです。とはいえ、単独型住宅用火災警報器の警報音は、その部屋だけで鳴ると知っておいて損はないはずです。

このことは、単独型住宅用火災警報器を、普段人がいない空室、物置、車庫などに設置しても、設置する意味が薄れてしまうということ。さらに、オーディオを鳴らすための防音室や、カラオケルームなどでも厳しいでしょう。

また、警報音が鳴っても、起きて逃げ出すことが出来ないような、寝たきりの人や赤ん坊がいるような部屋では、その部屋の警報音によりいっそうの注意が必要ということです。(泥酔しているような人にも注意が必要です。)

このようなことに対して危惧を抱かれる方は、住宅用火災警報器の連動型というタイプを選ぶとよいでしょう。このタイプならば、他の部屋に設置した警報機からも、警報音が鳴ってくれます。ただ、連動型は単独型よりは高価ですが。

この連動型には、配線工事が必要な有線式と、配線工事が不要な無線式があります。既存家屋に連動型を設置する場合には、配線工事が不要の無線式を選んだほうがよいでしょう。

煙感知と熱感知
住宅用火災警報器には、大きく分けると2種類のタイプがあります。一つは煙を感知して警報を発する煙感知タイプで、もう一つは熱を感知して警報を発する熱感知タイプです。

この2種類の使い分けは、原則はすべて煙感知タイプを設置すべきであるが、台所に関しては熱感知タイプでも可、というようになっています。これは、煙感知 タイプを台所に設置してしまうと、調理の際の湯気や油煙りによって、過剰に反応してしまうことがあるからです。もちろん熱感知タイプを台所に設置すると、 設置場所によっては熱を感知してしまうこともあります。ただ、煙は部屋中に回ってしまいますが、熱はそれほどでもないということで、熱感知タイプは煙感知 タイプよりも過剰な反応が少ないということです。

ところで、台所については国レベルの法律では、住宅用火災警報器の設置を義務付けてはいません。しかし、自治体によっては台所にも住宅用火災警報器の設置を義務付けているところがあるので、各自治体や消防署のサイトなどで確認が必要です。

ただ、火災の発生場所として台所は重要な場所であるため、条例で義務付けられていなくとも、自主的に設置しておいたほうがよいと思います。台所を離れているときに火が出てしまった場合、台所の火災警報器が急を知らせてくれることになります。

和室への設置


これは住宅用火災警報器ではなく、自動火災報知設備の煙感知器です。自動火災報知設備の感知器は住宅用火災警報器と同じような形状をしているため、ここでは自動火災報知設備の感知器を例にして話を進めます。

写真に写っている天井は、茶系のビニールクロスです。その茶系の天井に、白い住宅用火災警報器となると、かなり目立っていました。一般に、洋室の天井は 白っぽい色をしていることが多く、そこに白い住宅用火災警報器を設置しても、それほど目立つことはありません。こちらでは、残念ながら茶系のクロスで仕上 げられていましたが。

一方、和室の天井となると、板材の色である茶色系がほとんどです。そのような場合に住宅用火災警報器を考える際には、茶系の色をした製品を選んでみてください。すべてのメーカー、すべての製品で茶系の色があるとは限りませんが、茶系の色をした製品も販売されています。
住宅用火災警報器を選ぶさいには、色のことも考えに入れてみてください。

警報音が鳴ったら
住宅用火災警報器で一番大切な問題です。
住宅用火災警報器の警報音が鳴ってしまったらどうするか?それが空鳴りではなく、リアルに火事であった場合です。

基本は命の確保です。自分の命と、同居している人の命を、危うくしないことが基本です。
まずは、その部屋からの逃げ道を確認、確保してください。火災の発生を早期のうちに知らせて、発生した火災に対処する余裕を与える。そのための住宅用火災警報器です。

とはいえ、簡単に消せる程度の火なのに、そのまま逃げ出してしまって大きな火災にすることもないでしょう。いつでも逃げ出せるような状態に自分の身を置いて、消火器などを使って火を消すことも大事なことです。もちろん、消火器を使って逃げ道を確保するような場面もあるかもしれません。

ということで、住宅用火災警報器を設置する際には、住宅用火災警報器だけでなく消火器も用意するようにしてください。さらに加えると、火災の発生階によっては、避難ロープや避難ハシゴなどの避難器具も必要になってきます。こちらのほうも、ぜひ検討してみてください。


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